遺言書の書き方|自筆証書遺言と公正証書遺言の違いをわかりやすく解説
「遺言書を書いておきたいけれど、何から始めればいいかわからない」という方は多いのではないでしょうか。この記事では、遺言書の主な2つの種類とそれぞれの書き方、法的に無効にならないための注意点を順を追って解説します。
遺言書には主に2つの種類がある
遺言書と一口に言っても、法律で定められた形式はいくつかあります。ここでは実務でよく使われる2つの方式を紹介します。
自筆証書遺言(自分で書く遺言書)
遺言者本人が手書きで作成する、もっとも手軽な方式です。費用がかからず、いつでも書き直せる一方、書き方に不備があると無効になってしまうリスクがあります。
公正証書遺言(公証役場で作成する遺言書)
公証人が遺言者から聞き取った内容をもとに作成する方式です。証人2名の立ち会いが必要になりますが、公証人が関与するため形式不備で無効になるリスクがほとんどなく、原本は公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。
自筆証書遺言の書き方と注意点
自筆証書遺言を法的に有効なものにするには、民法で定められた次のポイントを守る必要があります。
- 財産目録を除く全文を自筆で書くこと(パソコンでの作成は無効)
- 作成した日付を明確に記載すること(「令和8年8月吉日」のような記載は無効)
- 氏名を自書し、押印すること
- 加筆・修正する場合は法律で定められた方式で訂正すること
2019年の法改正により、財産目録部分はパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることが認められるようになりました。ただし本文(誰に何を相続させるか)は必ず自筆で書く必要があります。
法務局の「自筆証書遺言保管制度」を使うと安心
自筆証書遺言は自宅で保管すると、紛失・改ざん・発見されないといったリスクがあります。2020年から始まった法務局の保管制度を利用すると、法務局が原本を保管してくれるため、相続開始後に家庭裁判所で必要になる「検認」の手続きも省略できます。
公正証書遺言を作成する流れと費用
公正証書遺言の作成は、次のような流れで進みます。
- 遺言の内容と必要な資料(戸籍謄本、財産に関する書類など)を準備する
- 公証役場に相談・予約する
- 証人2名を用意する(推定相続人以外の人を選ぶ必要がある)
- 公証役場で公証人による読み聞かせを受け、署名・押印する
費用は遺す財産の額によって変わります。目安は以下のとおりです(出典:公証人手数料令)。
| 財産の価額 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 11,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 17,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 23,000円 |
財産の総額が大きい場合や、相続人が複数いて関係が複雑な場合は、上記に加えて遺言加算などの費用が発生することもあります。正確な費用は事前に公証役場へ確認しておくと安心です。
どちらを選ぶべきか
費用をかけずすぐに書き始めたい方は自筆証書遺言、確実に法的な効力を持たせたい方や相続財産が多い場合は公正証書遺言が向いています。迷った場合は、法務局の保管制度と組み合わせた自筆証書遺言から始めるのも一つの方法です。
遺言書と一緒に、想いを伝える方法も考えてみませんか
遺言書は財産の分け方を明確にする大切な書類ですが、そこに「なぜこう分けたのか」「家族への感謝の気持ち」までは書ききれないことも多いものです。映像メッセージという形で、遺言書だけでは伝えきれない想いを残しておく方も増えています。
よくある質問
- 遺言書はパソコンで作成してもいいですか?
- 自筆証書遺言の本文は手書きが必須です。ただし財産目録部分に限り、2019年の法改正によりパソコンでの作成や通帳コピーの添付が認められています。
- 遺言書に書いた内容は絶対に実現されますか?
- 遺留分(法定相続人に保障された最低限の取り分)を侵害する内容の場合、相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。内容によっては専門家に相談することをおすすめします。
- 遺言書はどこに保管すればいいですか?
- 自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用するのが安心です。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため、正本・謄本を自宅などで保管しておきます。
- 遺言書を書き直すことはできますか?
- 何度でも書き直せます。新しい遺言書を作成すれば、内容が抵触する部分について古い遺言書は効力を失います。
